「しまねこ家」人名録 義理姉 「隣の芝生」が、とにかく青く見える人。 義理姉のクチぐせ 「みんなが、そう言ってる」 「みんなは、こうしてる」
ハイハイ、そうですね。 でも、せいぜい3人ぐらいでしょう。 「みんな」って、あの人と、あの人と、あの人?
何を気にしてるの、つまらないこと。 何がうらやましいの、他人のこと。
義理姉は、数年前に再婚した。 二人の子供も、成人していた。 夫婦の楽しい会話、楽しいお出かけの休日。 そんなことを、また思ったらしい。
それはそれでいいこと、自然なこと。 気楽な気分になって欲しかった。
しかし、ご主人は話下手な人だった。 休日は家で過ごしたい人だった。 人付き合いも上手ではなかった。
義理姉、また「隣の芝生」が青く見えた。 「隣の芝生」は、僕たち夫婦。
「いいわよね、アンタ達は・・・」 ぼやかれてもね、しょっちゅうはキツイよ。
親族で飲み会があった日のこと。
妻の実家に7名集まり、けっこう賑やかだった。
義理姉は飲み過ぎて眠くなっている。 その隣には、お酒を飲まないご主人。 モシャモシャと散らし寿司を食べている。 そのほかはバカ話で盛り上がっている。
ウトウト・・・・・ウ〜ン・・・・・(義理姉)
モシャモシャ、モシャモシャ(ご主人食べる。)
ワハハハハハ(僕、義理姉の娘、息子)
ワッハッハ!! (妻)
ウトウト・・・・・・アノネ・・・・・・
モシャモシャモシャ・・・モシャモシャモシャ
ワハハハハハハハハハハハ
ウトウト・・・・・私、帰らない・・・今日、泊る。
モシャモシャモシャ(ひたすら)
ワハハハハハハハハハハ
ワッハッハ!(妻、気にしちゃぁいない)
義理姉、完全に起きた。
辺りを見回している。
モシャモシャモシャ・・・・・・・・・・・・・・・
ワハハハハハハ・・・・・・・・・・・・・・・
ワッハッハ!(同)
義理姉、突然、言った。
「 私、幸せじゃない!! 」
空気が凍った。
家の中が静かになる。
テレビのニュースが聞こえる。
視線が、義理姉夫婦に集まる。
ゆっくりと、横目で ・ ・ ・ ・ ・ ・
モシャモシャモシャ・・・・・モシャモシャモシャ
モシャモシャモシャモシャモシャモシャ
ご主人、散らし寿司を食べている。 特に、驚いた様子も無い。
スッと、僕と視線が合った。
「ごめん、から揚げとってくれる」
お茶を飲みながら、僕に頼んでいる。
「あっ・・・・・はい、どうぞ・・・・・」
ご主人、何事も無かったようにしていた。
しばらくして、何となく会話が再開した。
義理姉だけがブツブツと、何か言っている。 ちょっと、寝ぼけたような顔で。
オネーちゃん。 本当はあなた、幸せじゃないですか。 このご主人、けして鈍感でも無神経でもない。 なにも気にしていない顔をしているだけ。
でも、あなたが好きだって顔もしている。 気が付いて欲しいな、それに。
誰かの真似なんかしなくてもいいでしょう。 ゆっくりと、スタイルを作ればいいんだよ。 青い鳥は散らし寿司を食べてるけどさ、 「隣の芝生」よりは合ってるようだけど。
手間のかかる人だよなぁ、本当に。
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