野球ほど、言葉のブッソウなスポーツも珍しい。 「盗む」「刺す」「殺す」「憤死」・・・・・・ けっこう恐い。
妻は、北海道日本ハムファイターズの大ファン。 チームや選手への思い入れも深い。 加えて感情がストレート。 声も大きいから、すごいことになる。 たまには札幌ドームにゲームを観に行く。 しかし、普段はテレビでの観戦となる。 ナイトゲームならビールを片手に応援する。 ますますボルテージが上がる。
妻は、野球の事情やルールにも詳しい。 そしてゲームが緊迫してくると、興奮もたかまる。 「気合入れてけよぉぉぉぉおおおおお!!!」 「何やってんのよぉ、ボケぇええ!!!」 「こらぁあ、走れぇえ、還って来ぉぉおおい!!」 日本ハムの選手が大きな打球を飛ばす。 「行け、行け、行け、オォォウ走れぇええ!!」 日本ハムのピッチャーがホームランを打たれる。 「この根性なし〜〜〜、高い金貰ってよぉお!」 日本ハムのバッターがデッドボールを食らう。 「ゴォォオオルァァア!」 「殺すぞボケぇえ〜!」
もう止まらないし、止めようがない・・・・・・ 日本ハムというチーム、選手への愛憎が渦巻く。 その他、野球独特のブッソウな言葉も飛び交う。 ビールが増える。 興奮する。 叫ぶ。 またビール、興奮、叫ぶ・・・・・・・・・・・・・・・・・ しかし、我が家は古い造り。 住宅地の路地にも面している。 夏なら窓も開いている。
きっと、外ではこんな声が聞こえていたかも。
「何やってんだよぉおお!」 「殺すぞボケぇえ〜!」 「仕留めるぞぉ、ゴォルァアア〜!」 「刺せ! 刺せ! 刺せ!」 充分に、激しい夫婦喧嘩を想像させる。 それも、かなり危険な。 そして、かなり一方的な・・・・・・・・・・ 僕は抑うつ症がひどかった頃、 毎朝、落ち込んだ顔をして出勤していた。 お向かいのご主人と行き会ったりもした。 かなり誤解されていたかも知れない。 |